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鳶色の小さな欠片をひとつ指でつまみあげる。それからとびきりの笑顔を作って、ナルトは訝しむサスケの唇にそれを押し当てた。
「食ってみろよ」
「はぁ?んな甘そうなもん食えるか」
「大丈夫だって!コレは甘くねえから。な?」
「……」
ナルトは甘えるような上目遣いで強請ってみた。下手に出た相手を無下には出来ないサスケの性格をナルトはもう知っている。
今日のために選び抜いたビターチョコレート。今、サスケに食べてもらえなければ意味がない。
指先で僅かに溶け出したチョコレートをもう一度差し出すと、ゆるく開いたサスケのきれいな唇が渋々その欠片を挟んだ。が、眉間に深い皺を寄せたサスケは一向にそれを口の中に入れようとしない。おそらく立ち上る芳香に甘さを予感してのことだろう。
甘くないと言っているのに。ナルトを信じようとしないサスケの態度に思わずむずかる声がナルトの口をついて出る。
「食えってば」
ナルトがサスケの唇の間で止まったままのチョコレートを指でそっと押すと、サスケは半ば諦めたようにそれを口の中に迎え入れた。眉間の皺を一層深くしてゆっくりと咀嚼するサスケの表情をナルトはドキドキしながら見守った。
bitter and sweet
うちはサスケという人物は、実は随分と分かりやすい男だとナルトは思っている。今だってそうだ。目の前で口を動かすたび僅かずつだがどんどん表情が変わっていく。それはナルトの目にはまるで百面相のように映る。
サスケは引き絞っていた眉をほんのすこし緩めて困惑に似た色をその黒い瞳に浮かべた、かと思えば、今度はそこに照れたような色が混じりだす。
(あ、思ったより美味い、とか思ってんな)
サスケの心が手に取るように透けて見えてナルトは小躍りしたくなる。だがここで得意げに指摘してしまうとサスケの機嫌を損ねてしまうのも知っているからそれはぐっと我慢した。
「どうだよ?」
「……。一応食えるな」
相変わらず素直じゃない。本当は結構気に入ったくせに。
緩みそうになる頬をぐっと押さえつけて、ナルトはチョコレートをもうひとかけらつまみ上げた。目の高さまで持ち上げて「どう?」と視線で問えば、今度は素直に口を開いたサスケの表情に堪らなくなる。可愛くて仕方がない、だなんて、これも口が裂けても言えない。
まるでひな鳥のように待つサスケの唇の間にチョコレートをそっと差し入れてやる。好い音をたてて美味そうにチョコレートを噛み砕くサスケをうっとりと眺めていると、じろじろ見るなという顔でサスケに睨まれた。
余程気に入ったのか、サスケはついに自分からチョコレートに手を伸ばした。だが白い指先に挟んだその鳶色をまさに口に入れようとしたところで、ふと何かを思い出したようにサスケはぴたりと動きを止めた。
「にしても、これはどうしたんだ」
「どうって、今日はバレンタインデーだってばよ?」
やはり、というか、そんなイベントはしっかり意識の外だったのだろう。サスケは固まった表情の奥でしばし思考を巡らせているようだったが、やがて気のない声で「ふん」ととぼけると口の中にチョコレートを放り込んだ。
「おっ。そうと分かって食ったってことは、オレの愛を受け取ってくれたってことだよな?」
「……どうだかな」
そう言ってサスケは艶然と微笑んでみせると、己の唇をゆっくりと味わうように舌を滑らせた。唇に残る僅かな好味も惜しんだサスケのその舌の動きは否応なくベッドの上での彼の表情を思い起こさせる。
こくり。ナルトの喉が物欲しげに鳴った。
++++++++++
えーと、雲行きが怪しくなってきたのでとりあえずここまでで(笑)。続き書き上げたらちゃんとサイトにアップしますよー。
設定は中忍×中忍くらいかなー。付き合ってから数年、くらいな二人で。どうっすか。ん?つか、初めてのバレンタインっぽいですか。じゃあ付き合いだして1年未満?(笑)
前半部分も少し書き直してみました。昨日のアレは絵でいうと下絵エンピツ画状態でしたんで…いやちょっとこんなもん晒しちゃったよ恥ずかしいなもう!とか思ったんですが、ここ(日記)までいつも覗いてくれるのは拙宅をたくさん愛してくださっている方々だと思い込んで甘えてみました(笑;;)
なーんか突発的にバレンタイン企画になっちゃったコレですが、きっかけは斎木シノブさんちのサッケさんなんですよね。勝手にすっげー感謝なんですけど、どうしよ、これ、もらってくんないかなシノブさん///とほんのりこんなところで呟いてみたり(笑)。いやいや、ちゃんと完成してから直談判に行きますよ(笑)。
☆拍手レス☆
>2月14日15時さま「日記笑った。…」の方
こんにちは!えーと、違っていたらすみません、るりたまさん、でしょうか…?
日記まで楽しんでいただけたみたいで嬉しいですvvって、ドレだろうか;;自分じゃ分からない…(笑;)。新作もぼちぼち書いておりますvた、楽しみにお待ちください…!
☆メルフォレス☆
>“「ファン」です”さまv
ぬおおお!気づかれていたんですねオイラの恋心がどこに向いていたかを!そうか…やっぱりサスケですか。ですよね。もう認めざるを得ません。そうなるとナルトは自分の分身?として?むしろ我が子のように愛しているのかもしれませんね(笑;;)こ…濃ゆいなオイラの愛…。
突発バレンタイン企画、勢いここまで書いてしまいました。少しでも楽しんでいただければ幸いです!コレも仕上げて、連作も頑張りますー!
その他拍手クリックありがとうございますー!非常に励みになっております!多謝!多謝!すっかり字書きモードから抜け出せません。がしがし書いております頑張ります!とりあえずは上のバレンタイン企画物を先にアップすることになりそうですー。
